寒くなると流行ってくる食中毒と感染性胃腸炎・・・それはノロウィルスに感染したのが原因かもしれません。今年はノロウィルスの大流行の兆しがるようです。新型のノロウィルスが登場して恐れられています。
腹痛、下痢、おう吐など苦しい状況が続くノロウィルス。今年、大流行するかもという理由は何なんでしょうか。
ノロウィルス 異変した新型はどんなウィルスなの
今年は春先から新型ノロウィルスがはやり始め、世界で警戒されています。ノロウィルスもいろいろな種類の型があり、人間が感染するのは30種類ほどあるようです。
主に流行しているのは「GII.4」という型なのですが、以前からあった「GII.17」が変異した新種が発見されました。
日本の川崎市国立感染症研究所が2014年3月に世界で初めて発見した型です。
その名も「GII.17kawasaki2014」という名前です。
(なんだかオートバイみたいな名前ですが。)
世界16カ国の研究者が投稿している科学雑誌でも「今年はノロウィルスが世界で急速に広がる可能性がある」と警告しています。
感染者は数億人規模になる可能性もあるようです。
アメリカ、イタリア、中国などでも新型ノロウィルスの感染者が見つかっています。
もちろん日本でも今年の1月から3月にかけては、「GII.4」よりも新型の「GII.17kawasaki2014」の方が感染事例が多いのです。
ノロウィルス 新型が出現するとどうして恐いの
この新しいノロウィルス「GII.17kawasaki2014」は発見されたばかりなので、感染した人がまだ少ない・・・ということは免疫がある人がほとんどいないということです。
ノロウィルスも以前に感染して発病した型であれば体の中に免疫ができているので、同じウィルスに感染しても発症しないことが多いのです。
新しいウィルスは免疫がないので大流行の恐れがあります。
日本国内で過去最高にノロウィルスが流行したのは2006年~2007年の冬のシーズンです。
その当時の過去4シーズンの冬の時期と比べて、ノロウィルスが原因の食中毒が2.7倍も増加しました。
その時も原因は変異した新型のノロウィルスが猛威をふるっていたのです。
新型が出現したので今年は1年に2回ノロウィルスに感染してしまう可能性があります。腹痛が治ったばかりなのに、またお腹の調子が悪い・・・。これはやっかいですね。
ノロウィルス 集団感染することがあるのはなぜ
ノロウィルスは病院やホテル、小学校などで集団感染が・・・のようなニュースが流れますが、これはどのような理由があるのでしょうか。
ノロウィルスは数10個から100個くらいのウィルスが体の中に入ると感染します。インフルエンザが1000個から3000個くらいで感染ということに比べると、強い感染力があります。
とくに、ノロウィルスで食中毒症状のある患者からのおう吐物や便が乾燥するときに大気中に舞い上がってきます。
ホテルや病院などでおう吐物の処理や消毒が不十分であると他の方にも簡単に感染し、集団発生の原因になります。
ノロウィルスは85度以上の熱湯か塩素系漂白剤を薄めた物でないと消毒できません。アルコール消毒も全く効き目がないのです。
おう吐物の処理に使う、塩素系漂白剤の溶液は0.1%の濃度にします。
水500mlに塩素系漂白剤10mlの割合です。キャップ2杯の塩素系漂白剤を水で薄めます。
処理する方も使い捨て手袋とマスクでガードして、ぼろ布などでおう吐物を中心に集めるように拭き取り、塩素系漂白剤を薄めた溶液入りのビニル袋に入れて捨てましょう。
床もキッチンペーパーで水分を拭き取り、最後に塩素系漂白剤を薄めた溶液をしみこませたぼろ布で床を拭き取っておきます。
患者をお世話する家族が倒れてしまっては大変です。ノロウィルスのありそうな所に近づかないのが1番ですが、処理はしっかりやっておきましょう。
あとがき
実は日本の大手の薬メーカーの武田薬品がノロウィルスのワクチンを開発中なんだそうです。
順調にいけば東京オリンピックの頃、2020年には実用化して発売できるそうな。
しかし、それまではワクチンのないノロウィルスにはなるべく近づかないよう慎重に対処していきましょう。
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