最近の葬儀は密葬や家族葬などシンプルなスタイルが主流のようです。昔の話で恐縮ですが、私が人生最初に葬式を経験したのが、今から40年ほど前、小学校6年生の頃です。
自宅で祖父が亡くなったときに、自宅を会場にしてお葬式を執り行いました。当時はそれが常識でしたが、葬儀って大変だなぁと思ったのも確かです。
私の自宅葬儀の体験を書き残してみました。
葬儀を自宅で 昔はこれが当たり前で家の中が大騒ぎ
祖父が自宅で脳溢血のような症状になり、半日ほど眠ったままで亡くなりました。
医者の往診が終わり、祖父が亡くなったのを確認したから、たぶん葬儀屋さんに連絡したんだと思います。
当時は葬儀は自宅を会場にして執り行うのが当たり前でした。葬儀屋さんの専門会場などはありませんでした。
祖父は仏壇のあった部屋に運ばれて、葬儀屋さんが体をきれいにしているのを見ました。
いわゆる湯灌( ゆかん )という仕事を目の前で初めて見たのでびっくりしたのを覚えています。
体をぬるま湯でふいて、鼻の穴や耳の穴に脱脂綿をつめていました。(実は汚物が出ないように肛門にも脱脂綿をつめるそうです。)
白い着物に着替えさせてもらったじいちゃんを見ると本当に遠くに行ったんだなと悲しくなったのを覚えています。
葬儀を自宅で 葬式屋さんが居間に祭壇を設定
さてその後が大変でした。居間にあった家具が、奥の客間にどんどん運び込まれがらんとしていきました。
1階の仏壇がおいてある6畳の部屋と隣の十畳の居間のふすまを外して、祭壇を作ることになったようです。
白い布が正面に貼られて、祭壇がみるみるうちにできあがっていきました。
花や提灯なども飾り付けられ、お線香を焚く場所もできあがりました。
6畳の部屋の方から、座布団がどんどん運び込まれて敷き込まれます。
玄関には受付が設けられ、外には白黒の布が貼られて、ここが葬儀会場というのがわかるようになっていました。
私は子どもだったので行く場所がなくて、姉と子ども部屋でひっそり待っていたような気がします。
夕方からお通夜の受付が始まり、家の目では喪服を着た方が並んでいました。
葬儀を自宅でやった場合 終わった後はヘトヘトに
お坊さんがやってきて、お通夜のお経があがる頃には、部屋の中はお客様でぎっしりです。立っている親戚の方もいたような気がします。
母や祖母は黒い着物、父は黒いスーツの喪服です。お焼香が終わり、喪主である父の挨拶の後の通夜ふるまいも、もちろん自宅です。何か軽食のお寿司などが届いていましたような気がしましたが。
次の日の葬儀、告別式の後は大きな葬儀車が着て、火葬場に向かいます。
じいちゃんのお骨が戻ってきてから、翌日くらいには祭壇はかたづけられ、仏壇のある部屋にシンプルな祭壇が作られました。
後でお焼香に来る方のための準備だったと思います。
居間はもう一度家具を戻して・・・。飾り付けるときはたくさん人がいますが、しまうときは家族だけなんで大変です。
家の中によその人がたくさんやってきて、バタバタして子どもながらものすごく疲れました。
げっそりして仏壇に並んでいる家族写真が残っています。
そして、母にちょっと気になっていたことを訪ねました。
「ぼくちゃんってうちに来てくれたの?」
「ぼくちゃん」というのはあだ名で、近所をうろうろしているおじさんがいたんです。葬式になると必ず現れて、祭壇の飾り付けなどあれこれこうした方が良いと指示してくるそうな。
葬式まんじゅうを上げると帰ってくれるのですが、「ぼくちゃん」が来ない葬式もどうも近所の噂では良くないことらしいんです。
母「ちゃんとぼくちゃんは来たので、おまんじゅうをあげたよ。」
それを聞いてちょっと安心した私でした。
まとめ
その後、平成になってから祖母が亡くなったのですが、近所に葬儀場ができたので、家ではなく、そちらの葬儀場を借りました。自宅葬よりは多少お金がかかったかとは思いますが、ずいぶんと楽だなぁと感じました。
最近は自宅でやるなら、家族葬のようにこじんまりした葬儀ならおすすめできますが、規模が大きい一般葬儀なら葬儀場を借りた方が良いかと思います。
昔のように自宅で葬儀をやる場合は、葬儀屋さんだけではなく、親戚や近所のかたなどのたくさんのお手伝いが必要です。でも昨今は近所づきあいもいろいろ面倒ですよね。
知り合いは近所にバレるとうるさいので、わざと離れた会場で家族葬をしたようです。
でも自宅での葬儀は目の前で祖父の体をきれいにしてくれているのを見ることができたり、葬儀というのはこんな風に準備をするんだなぁという実感が持てたことは良かったのかなと思っています。
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